犬って、ほんと、帰りを待っていてくれるんですよね。
飼い主が出掛けたら、犬には一体どこに行ったかも分からないし、いつ帰ってくるのかも分からない。だから、ちょっと出掛けたときでも、帰宅してドアを開ければ、再会の喜びいっぱいに、全速力で駆け寄ってきてくれる。
もちろん飼い主も、それが楽しみで帰って来るわけです。再会の瞬間は、もう無条件に嬉しい。
……あぁ、みんなこの瞬間が大好きなんだな、と、この銅像の前に立って、しみじみ思ったのでした。東大農学部の入口門を入って、すぐ左手に出来たばかりの「上野英三郎博士とハチ公」の銅像です。渋谷のハチ公の飼い主は、東大農学部の教授だったのですね。
ハチ公の没後80年となる2015年3月8日に除幕式が行われたそうで、訪れたのはそれから4日後でしたが、銅像の周りには、ひっきりなしに人が集まっていました。
「いい銅像よね」
「すばらしいわよね」
と見知らぬ者同士、ニコニコと話しながら写真を撮っていて。
あぁ、なんかもう、犬ってすごいな、と思ったのでした。
ハチ公を有名にしたのは、日本犬保存会の初代会長である斎藤弘吉さんだそうで、
「ハチ公と上野英三郎博士の銅像を東大に作る会」のウェブサイトには、斎藤さんの言葉が引用されております。
「死ぬまで渋谷駅をなつかしんで、毎日のように通っていたハチ公を、人間的に解釈すると恩を忘れない美談になるかも知れませんが、ハチの心を考えると恩を忘れない、恩にむくいるなどという気持ちは少しもあったとは思えません。あったのは、ただ自分をかわいがってくれた主人への、それこそまじりけのない、愛情だけだったと思います。ハチに限らず、犬とはそうしたものだからです。……」
ほんと、どこの犬もただただ、飼い主を待っている。
待ち続けて90年、ハチ公、再会できて良かったね〜(K)